デザインセンター潜入記
Guest Blogger 12月 31, 2016

1873年に創業し、現在はイッタラグループの中核ブランドの一つとしてムーミンマグなどのシリーズを展開するアラビア。2016年3月、そのファクトリーが惜しまれながらクローズしたのに伴い、日本人ビジターの人気スポットだったファクトリーショップもリニューアルされ、11月に「イッタラ&アラビア・デザインセンター」に生まれ変わりました。

ショップの方はすでにこのブログでも紹介されていますが、今回は同時にリニューアルされたミュージアムや、フィンランドの著名デザイナーのアトリエがあるアートデパートメントなど、デザインセンターをさらに踏み込んでご紹介してみたいと思います。

 

工場は戦後間もない1947年に完成。 ガイドブックなどでもお馴染みの外観は、フィンランド産業史を伝える景観として保護されています。
工場は戦後間もない1947年に完成。
ガイドブックなどでもお馴染みの外観は、フィンランド産業史を伝える景観として保護されています。

 

製造に使われてきた銅板を生かしたエントランス部分
製造に使われてきた銅板を生かしたエントランス部分

 

■ショップ(2F)

ショップの様子はこちらもご覧ください

このショップが他のショップと一味違う一番の特徴。それは「アラビアブランドの製品が世界一揃っている」ところです。イッタラ製品の中でも、現在「アラビア」名義で製造販売されている14のシリーズとムーミン関連の製品が、このセンターのショップにはすべて揃っています。

 

「Koko」「24h」「Paratiisi」などがアラビアライン
「Koko」「24h」「Paratiisi」などがアラビアライン

 

また、スペースの奥にあるキッチンカウンターは単なるディスプレイではなく、実際にコーヒーやお水がいただけるスペースでもあります。こちらからお願いしなくても、ショップスタッフの方が「コーヒーはいかがですか?」と声をかけてくださることも。ラッピングの待ち時間などにも一息つけます。

 

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売り場の中には、製品の製造工程を紹介するコーナーも。フィンランド人にとって、デザインは生活の一部。一人でも多くの人にデザインが生まれる背景を伝え、身近なものにしてもらう工夫がなされています。

 

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日本人ビジターにとりわけ人気が高かったアウトレット製品は、残念ながら市外のアウトレットショップに移転してしまいました。でも、新ショップにも、プロパーの商品よりお買い得な「ユニークカラー」の製品が出ていますのでお見逃しなく。このユニークカラーとは、シリーズの製造工程で色を変える時に生まれる中間色のこと。定番色とはまた趣を変えた、シックな色合いがなかなか魅力的です。

 

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■デザイン・ミュージアム・アラビア(9F)
ここで、エレベーターで新しくなったミュージアムにも行ってみます。市内中心部のデザインミュージアムの一部門でもあるミュージアムは、今回のリニューアルでショップと同じコンセプトのインテリアに統一され、約350の陶器・ガラス作品が展示されています。

 

中央のテーブルには歴代のマグカップやグラスが
中央のテーブルには歴代のマグカップやグラスが

 

「Paratiisi」シリーズで根強い人気を誇るビルガ-・カイピアイネンの作品
「Paratiisi」シリーズで根強い人気を誇るビルガ-・カイピアイネンの作品

 

ミュージアムの入口前には、現在計画中の作品やデザイナーの試作品が展示されたギャラリーコーナーもあります。

 

■デザインラボ(9F)
工場の窯を使用してフィンランドを代表する美術作家・デザイナーたちが陶芸作品の制作活動を行ってきた「アートデパートメント」のスペースも見学させてもらいました。このアートデパートメントは非常に長い歴史を持つ組織ですが、今回のリニューアルでスペースの一番手前にデザインラボができ、一般向けのワークショップなども開催されるようになりました。工場が閉鎖した後、新しい窯も近日中にここに設置されることになっています。

 

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ラボの奥は、著名アーティストのイマジネーションを形にする場であるアトリエが並びます。

 

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作家の方々にもお会いできましたよ。

 

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動物?などをモチーフにした独創的な作品で観る人を自由にする、美術作家のヤスミン・アノシュキン(Jasmin Anoschkin)さん。5月にリニューアルオープンしたヘルシンキ市立博物館のロビーに大きな作品が置かれ、注目されました。「あれで発注も増えたのよ。やったわ!」お人柄もとてもチャーミングでした。アラビアのアトリエでは陶芸の作品を制作しているそうで、ラボには制作中の作品が並んでいました。

 

ヘルシンキ市立博物館にあるヤスミンさんの作品
ヘルシンキ市立博物館にあるヤスミンさんの作品

 

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20代の頃からアラビアのファクトリーで製造・制作活動に取り組んできたペッカ・パイッカリ(Pekka Paikkari)さん。まだお若いですが、ファクトリーの重鎮の一人だったといってもよいでしょう。アラビアのムーミンシリーズの中でも、特にスペシャルエディション版のデザインに長く携わっているほか、大きな彫刻作品を多数制作しています。

 

そして…せっかくここまで来たからには、このデザインセンターでしか販売されていない製品もチェックしましょう。
ファクトリー時代はファクトリービジットマグが有名でしたが、新しいマグはこちら。ショップのほか、ミュージアムの入口でも販売されています。

 

モチーフは雲
モチーフは雲

 

なお、ショップと同じフロアにあるカフェ「Cafe Deli Marche」も、近日中にショップ、ミュージアムと同じコンセプトに改装されることになっているそう。フィンランドのデザインをトータルで体験できる場所として、建物内の他のショップとあわせてお立ち寄りいただければと思います。

 

Info:
Iittala & Arabia Design Centre
Hämeentie 135 A, 00560 Helsinki
http://www.designcentrehelsinki.com/

 

寄稿:Makiko Lommi (Visit Helsinki Guide)